Blog – Atelier Report

アトリエ通信の過去記事はコチラにてご覧になれます。

再演と初演と
本日、情報公開されました!

昨年、大・大・大反響を呼んだ「映像の世紀コンサート」の再演が決定したのです。
オーケストラとナレーターは変わりますが、東京で同じ会場、同じ月、素晴らしかった指揮者も同じです。

9/2(土)13:00/17:00 映像の世紀コンサート Bunkamuraオーチャードホール
http://www.ints.co.jp/nhk-special2017/index-tokyo.htm

そればかりではありません。
なんと、「映像の世紀コンサート」の加古隆クァルテット・バージョンが、今年は新登場!!するのですぞ。
この初演は栃木県宇都宮市。
シンセサイザーの羽毛田丈史さんの参加というニュースも素敵ですし、オーケストラとはひと味違う「映像の世紀コンサート」が実現します。クァルテットびいきの私もワクワク。

7/12(土)19:00 映像の世紀コンサート 栃木県総合文化センター
http://www.ints.co.jp/nhk-special2017/index-tochigi.htm

KAKOさんは、クァルテットバージョンの為に曲を一つ一つチェックして、映像との絡みで数秒の単位でアレンジの変更を施すため、今から閉じこもりの毎日を送っています。

2017/02/25

必見のテレビ放送
待ってました!

●辻井伸行、レ・フレール、加古隆の「THE PIANIST! 2016」が放映決定!

昨年7月、東京オーチャードホールで開催された「THE PIANIST!」が、
下記日程で放送されることが決まりました。

3月3日(金)22:00~23:25 BSフジ

辻井伸行、レ・フレール、加古隆の3者によるステージは2013年に始まり、昨年はその3回目。
加古隆のコーナーでは、ピアノソロだけではなく「加古隆クァルテット」での演奏も繰り広げられました。

ステージの雰囲気です。



どうぞ録画準備をなさって、お楽しみください!!

2017/02/22

2月(如月)に向かって
冬の定点観測さんから先日届いた、今どきの軽井沢はこんな感じ。



このお庭に、隣人のかたが取り付けてくださったという餌台に、小鳥が来ています。

さて、今月は奈良県と兵庫県のコンサートがありましたが、昨年からプログラムに組んでいた第2部の、クァルテットで演奏された「映像の世紀」「新・映像の世紀」の組曲は、ここでひと休み、です。
前回のブログに書いたのですが、個人的にも大好きな組曲なので残念に思い始めていたところ、何と、同じ内容でアルバム(CD)化されることになりました。
録音は4月後半です。
と言うことは、おそらく年内に発売でしょう。

21日(土)の伊丹・アイフォニックでのリハーサル風景。



KAKOさんが鍵盤に指を置いて調弦の場面ですが、ホールの客席側も少し写っています。
椅子を見ただけで、「サロン音楽ホール」のような雰囲気ですね。



そうなのです!
約500席はかなりの急勾配で客席とステージはとても近く、音もクリアに響きわたり、奏者にもお客様にも素晴らしい空間となっています。
ステージの奥がカーブになっているところも、優しく親しみが持てました。

ふと天井を見上げて、あまりに可愛らしいので、パチリ!
お花のかたちのシャンデリア。



関西在住の旧知の作家がいらしていたとのことで、KAKOさんに届いた感想にこんなひと言が書かれていたそうです。
「以前にも増して思索の純度が増した・・・音楽でしか現せない黙示の深まり・・・」
さすがに、文学者の言葉ですね。
アンコールの「黄昏のワルツ」で、魂がどこかに連れ去られたようで立ち上がれなかった・・・とも。

しばらくコンサートの予定はないのですが、来月からは夏以降の企画に合わせて準備が始まります。

2017/01/28

耳を澄ませば
今日は奈良県橿原文化会館で、2017年初のコンサートでした。
朝9時台に雪が舞う京都から近鉄で橿原に向かうのですが、前日からの大雪で近郊の電車はかなり遅れている様子。心配なので早めの電車に乗車変更して出掛けましたが、大和西大寺駅辺りから積雪は殆どありません。拍子抜けした感じ。
でも会場にいらっしゃるお客様にとっては、晴れていて良かったです。

クァルテットの「組曲 新・映像の世紀」が第2部に組まれたプログラム。4人がステージに登場すると客席に期待感が漂い、拍手の場面ごとに盛り上がってきます。いつ見ても美しい佇まいで凛々しい4人!
昨年のツアーと同じ曲目ですし、私は何度も現場で体験してきているのに、これが毎回ワクワクして聴き惚れるんです。

20年前にNHKで放送され様々な編成や曲順でコンサートに組み込んできた「映像の世紀」ですが、 「パリは燃えているか」を軸に、3パート構成にしたこのクァルテットバージョンは個人的にかなり好きです。「神のパッサカリア」や「愛と憎しみの果てに」などの新しい曲の存在感もやはり効を奏しているのではないかと、改めて今日も思いました。

さて、橿原文化会館にはだいぶ昔来ているはず。煉瓦色の建物に記憶がありました。会館のスタッフのかたに調べて頂いたら、何と24年前の1993年とのこと。当時の年間事業パンフレットのモノクロコピーをくださったので、ここに掲載します。



中央に小さくKAKOさんの演奏写真が有りますが、90年代によく使用した写真で、懐かしかったです。アトリエに戻り93年の資料を調べれば、チラシが出てくるかも知れません。

ところで、この会館のご担当者さんがリハーサル中のKAKOさんへご挨拶したいということでお待ちしていたら、両隣に二人の男性が付き添った形で現れました。どうも杖を持っているようだし、視線が正面を向いていらっしゃらないのでどうしたのかと思っていましたら。
何と、この人は全盲だったのです。
(その事に気付かず、私は名刺を渡そうとしても受け取ってもらえず焦ったりして…)
目は見えないけれど、ずっとKAKOさんの音楽のファンでもあって、いつかコンサートを実現したいと考えていらしたとか。
県の職員だと思うのですが、ご本人も採用する側も素晴らしいですね。
その事に感激して帰路につきました。

続いて、21日(土)は伊丹アイフォニックのコンサートです。

2017/01/15

忘れ得ぬとき その2
《前掲から続く》

あれから四十八年たった今年の夏(注:これは2002年)、奈良・東大寺では大仏開眼一二五〇年ということで、様々な奉納の行事が行われ、中庭でコンサートができないかと依頼があった。咄嗟に僕は、奈良の先生のところにいたとき、一緒に東大寺に行った日のことを、あざやかに思い出していた。曇り日だったろうか。寺の中門をくぐった僕の前にあらわれた大きな大きな建物は、春日野の山々の影を落としているかのように暗く、そこには閑寂そのものの落ち着きの時間がただよっていた。そして大仏さまはおだやかな笑みをうかべている。おそらく、その瞬間、それまでに体験したことのない「いにしえの時間」へのあこがれが僕を襲ったのだろう。

もう一度、あのときに感じた「いにしえの時間」に対面したい。そう思った。

だが、コンサートの日程に合わせて、台風も近づいて来ていた。コンサートの前日は気温三十度で風も無く、蒸し暑い。東大寺の閉門後、搬入されたピアノを弾き、照明や音響のチェックをする。雨が近くまで来ているせいか、鍵盤が湿気を帯び、指がくっついて弾きにくい。翌日が思いやられた。
いよいよその日。控えの間の障子越しに見える梢も大きく揺れ、二十キロ先は豪雨だという。
「風が強過ぎて、ピアノの蓋があおられてはずれる危険性があります。蓋を取ってやりましょう」と声がかかる。開演の時刻がせまり、ステージとなる大仏殿に入る木戸口に佇んでいると、頬に雨粒が何粒か触れたように思った。夏の夕刻はまだ明るみが残っていて、何千人という人々の、野外特有のざわめきも感じとれる。が、初めの音が響くと、スーッと静まり返っていった。

ピアノに向かう僕の背後からは、時折一陣の風が渡ってくる。
風は、これよりももっと強くなるのか?嵐になるのだろうか。二十キロ先から雨はこちらに向かっているのだろうか。だが、前日とちょっと違う。風があるせいか湿気も飛ばされていて空気はさらりと乾き、鍵盤に指が吸いつくことなくなめらかにすすんでゆく。その時、僕はハッとした。
思い悩むのではなく無心になれ。そうだ、風に身をあずけ、風に乗って演奏するのだ。
風は東大寺・大仏さまの語りかけのように思えたのだろうか。その瞬間,台風のことは忘れていた。刻々と夕闇は深くなり、演奏が終わる頃に、金星がひとつ輝きをはなっている。
風も鎮まり、雨は降らなかったようだ。

風に身を任せて演奏する・・・あの一瞬のことを思い出していて、新しいアルバムにつけたタイトルが頭をよぎる。
―風のワルツー

奈良が生家だった先生も今は兵庫に住んでおられ、東大寺のコンサートを楽しみに待っていらした。けれども、体調がすぐれずどうしても行けなかった、という残念そうなお手紙が届く。
僕だけが奈良と先生に再会してきましたよ・・・そう伝えたかったけれど、代わりにこのCDをお送りしよう。ワルツは、どこか人を元気づけてくれる不思議なリズムを持っているから。

(KAKOさんが奈良のことを書いた原稿、いかがでしたか?
この日のコンサートでは、何故か東大寺の周りだけが晴れていて、演奏の間は一滴も降りませんでした。
ところが、終演後に機材の片付けがほぼ終わる頃、ザーッと降ってきたのです。奇跡のような一日でした。)

2016/12/18