ほのかな光で
昨年末から携わっていた映画が完成して、関係者試写会に出かけました。
せりふしか入っていない打合せ用試写は何度か見てきましたが、初めてせりふ以外の音がきちんと入ったものと出会えるわけです。風や雨や波、吹雪の景色に入る音、竹林がざわめく音など、
もちろん音楽がどのように映像についているか、完成版ですからドキドキします。
もちろん事前の音楽打ち合わせは入念にして、録音現場でも生のオーケストラの楽員も素晴らしい人ばかりで、
音もとてもよく録れていましたので、その点での心配はありませんが、映画全体に寄与出来たかどうか、一番気になります。
映画が進むにつれて、時折鼻水をすする音や、目頭を押さえる人がでてきました。
これまでも音楽の長さを計るために何度も見たはずの映像ですが、
音楽を入れるタイミングにばかり気を取られていたせいか、
今まで気がつかなかった役者の表情にハッとすることが幾度かありました。
見終わって、(試写会なので)小さなホールは心のこもった拍手に包まれました。
溝口健二とか、古い時代の映画を想起させます。昨今の過度な演出や騒ぎ立て傾向の映画の逆で、しっとりとした情感、森閑さなど、すばらしい!!
1スタッフとして参加できてホント幸せでした。好きなカットがたくさんあります、また書きます。
KAKOさんは、この映画の撮影前に監督さんがおっしゃったことが印象的だったそうです。
「ろうそく1本の光で撮影しているような映像」
こういう言葉が作曲のヒントになったりするんですね。
言い忘れました、映画は12月18日公開の杉田成道監督「最後の忠臣蔵」です。