それぞれの・・記憶の海

LA MUSIQUE

新しいCDのジャケットデザインの案が5つも送られてきました。さてどれにしようか・・・考ようと思いながらメールの先をよく読めば、自分は「タイプ○○」で決まりだと思います!というコメント付きです。こういう非常に分かりやすいやりとりが出来るのも、日頃の信頼関係があってのことですね。「タイプ○○」は、全体に黒っぽい背景にピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4人がステージで演奏している写真、まるで音が聴こえてきそうな雰囲気と迫力です。そこに「Quartet」の英字がなかなか素敵なデザイン文字で入っています。

今月の初めに初のステージをこなした日の演奏風景を、カメラマンが撮影してくださっていたのです。やはりライブというのは、一瞬一瞬の音の勝負ですから、4人の集中度もヴォルテージも最高潮になっていますので、ハーイ撮影しますよ、という写真とは格段の違いがで出てきます。出てきて当然です。どうぞ、CDをお楽しみに!

今年、クァルテットをやることになった際に、どうしても取り上げるという曲がありました。それは、もともと4つの異なった楽器がでてくる曲「それぞれの海」。
今話題の曲でもなければ、多くの人に知られた曲でもありません。そして一人では演奏できない、4人いるからこそ、なんですが・・。その話をした時に、ディレクターさんも大好きな曲だというので、すんなり収録曲になったのです。あなたも私も一人一人それぞれが持つ、海への思い。

長く音楽の仕事に携わっていらっしゃる方から、この曲を聴いてくださった感想が送られてきました。”選ばれた特別な和声の響き・・・、最初にKAKOさんの音楽を聞いた時の感覚・・・自分が生まれたずっと以前の記憶にたどりつくという、あの感覚を再び持ちました。生命が海から来たということも思い出し、人間の脳の真ん中に何も使わないけれど、太古の海の濃度と似た部分をみな持っているという話を思い出し・・・”
こういう言葉を持つことのできる人は、うらやましいです。音楽の持っている底知れぬというか遥かなる時空の旅ができる人。

Posted by アトリエール