オーケストラを愛してる!?

LA MUSIQUE

金沢に来て4日目です。オーケストラ・アンサンブル金沢との2日間のリハーサル、富山と金沢の公演が無事に終わりました。マエストロ井上道義さま、団員の皆様、全スタッフ・関係者の方々お疲れ様でした。オーケストラだけで演奏される委嘱曲「ヴァーミリオン・スケープ~朱の風景」の完成度が高く、最終楽章の余韻がいつまでも心によみがえります。KAKOさんも共演曲の3曲を、いつも通りの音色のうつくしい演奏です。でも、ピアノとオーケストラとのステージでは、ピアノの場所はかなりステージ前に置かれるので、通常のリサイタルのように、最高の響きの良い場所を勝手に選べないという点はありますが・・・。
井上さんの指揮は、手振りやからだの仕草に特徴があって、この方はもしかしたらダンサー?と思える瞬間が何度もあります。それに、こんな思いつきの一幕も。カーテンコールで大きな黒い帽子をかぶって出ていらして、指揮者とピアニスト、2人の帽子姿がステージに並び、喝采を浴びていました。

今日は、コンサートホールで主催者から渡された席に着き、次々に入っていらっしゃるお客様を見ていて、ふっとヨーロッパのホールのようだと思ったことを書きます。皆様も経験があると思いますが、パリやウイーンなどで大きな劇場に行っていつも日本と違うと感じるのは、高齢のお客様が実に多いということでした。60代はまだ若い方で、70代と思えるような方が客席を占めている。それも、素敵におしゃれをして。もちろん、ジーンズ姿の若い人もいますが、その方たちもシャツや上着の着こなしがひと味違うんです。えーっと、おしゃれの話ではなくて、とにかくグレイッシュな頭髪の方々が比率的にも多い劇場の中を見ているだけで、芸術に対する大人の国、町だと思って眺めていました。劇場に足を運ぶ年齢層が判断の基準です。
そういう眺めが、今日の音楽堂にはありました。おそらく、長い年月のオーケストラの歩みが市民の声援と共に息づいているからでしょう。

新たな取り組みとして、3階バルコニー席に気軽にコンサートを楽しんでいただこうと500円!の「スターライト席」というのも設けたそうです。ステージが見切れる場所もありそうですが、若い方、学生とか普段ホールに足を運ばない人への体験席としても活用されそうですね。でも、高所恐怖症の方はご遠慮ください、とチラシに書いてありましたけど。
それでも、いろいろと工夫を怠らない制作陣営の賜物だと私は思います。

4年ほど前に三重県からの委嘱で「熊野古道」を作曲してから、久し振りの生のオーケストラとのお仕事でした。北陸朝日放送の収録もありましたので、(全国ではありませんが)年末にはテレビで放映されるそうです。

Posted by アトリエール