泣けたシーン
一昨日からスケジュールびっしりの東京時間でした。昨日は朝からホテルのラウンジで打合せをやって、走るように有楽町に向かい、とても早い11時のランチというのを仕事仲間と慌しく食べて、そして映画「最後の忠臣蔵」の劇場に駆けつけました。初日の舞台挨拶が、上映前の12時25分から始まるというので、ランチは異例に早い時間になってしまったのでした。劇場近くのベトナム料理、おいしかった。
イザ劇場へ。ギリギリの時間に着いたので、ほとんどのお客様は席に着いている様子。制作プロデューサーが、「監督にお会いしますか?」とおっしゃって、さっさと控え室方面に歩いて行かれます。ステージに登壇する前の人にはお会いしたくないなあ、というのが私の本音ですが、KAKOさんはどんどん歩いていくので、その後を私も仕事仲間も見失わないように人ごみをかき分けて廊下を進みました。部屋の中には、役所広司さん、佐藤浩一さん、そして杉田成道監督がいらっしゃいました。俳優さんはお二人とも背が高い。そこに振袖姿のかわいらしい桜庭ななみさんが入って来ます。ふわっとした空気が流れました。
映画は、何度も打合せや試写では見ていても、劇場は違いますね。試写ではほとんど聴こえるかどうかという音のレベルが、昨日の劇場では「小さな音」ではなく「控えめな音」として、きちんと聴こえます。主人公の控えた志(こころざし)に添っているかのようです。音楽の響き方は大変満足しました。これは、やはり映画に関わった者の感想です。初めて映画をご覧になる方は、全く違った角度から観ていらっしゃることでしょう。涙を流している人が多かったです。ランチの時に、仕事仲間のUさんが試写会で泣いたという場面を聞きました。「孫左と吉右衛門が小屋の中で正面から出合う所。吉右衛門の目にも涙が・・・」。
観終わったあとになって、どこで涙が出たかという話になり、KAKOさんは「行列のところ」、私は「可音(かね)が絵筆を放って孫左衛門に話すシーン」ということで、お互いに全く違ったところで泣けたんですねえ。
そういえば、舞台挨拶で監督さんがおっしゃっていましたが、美術監督の西岡さんは88歳になられ、大道具の方達も80代の方ばかりでした、と。柱一つも焼いて磨いて洗ってまた焼いて、土壁の朽ちている部分も手間と時間をかけてやられたそうです。それらは全て、この映画の持っているなつかしさや美しさに通じています。
年末にかけて、1年の締めくくりに是非お出かけください。ハンカチは必需品です。