エッ?!スクリーン?
昨日東京・サントリーホールの会場にいらした方は、興奮気味で眠れなかったのではないでしょうか。
というのも、今朝メールをみますと、真夜中過ぎに発信されたメールが多々あったからです。
第1部は「雨の石畳」からスタートして、映画「蜩ノ記」の音楽や私が個人的に好きな「少年時代」があり、「湖沼の伝説」で締めくくり。それから休憩のアナウンスが入ると、少し暗転気味のステージに黒子のスタッフが大道具のようなものを運び始めたのです。
それは組み立て式のスクリーンでした。エッ?!スクリーン?
これまでのKAKOさんのオリジナルコンサートで、反響板に投影する試みはあっても、スクリーンを使用したのは20年近く前に1回程度です。今回は場所がサントリーホールだけに、パイプオルガンがあることですし、スクリーン使用は半信半疑でした。
そこで、プロデューサー氏の経験がものをいいます。ホールの設備ではスクリーンは吊りこみ出来ないが、キャスター付きのスクリーンがあるんですよ、とのこと。(ヘェー、そうなんですか)
ただし、一旦組み立てたら終演まではその場所に置いたまま、というネックがありますけど・・・。
でもKAKOさんは、「絵」を映写出来るかどうか、という機材的な検討が持ち上がった際に、それよりも、そもそも「絵」を見せるかどうか、随分考えていたようです。
話は前後しますが、札幌も大阪も、絵はお客様の手元のプログラムにレイアウトされていて、ステージにはピアノのみでした。そこにKAKOさんがマイクを持って「クレー」「北斎」の絵に対するお話しをしてきたのです。耳から聞こえるお話しからイメージが広がって、演奏を楽しむ趣向でした。これで十分な感じ。
これが初めからのアイディアだったのですが、サントリーホールでは、プログラムに絵も有り、ステージにスクリーンも有り、さらにTALKもするのか?やり過ぎでは?とKAKOさんは悩んでいました。
目と耳は、計り知れない別のところに繋がっているかも知れませんね。ある日、やはりTALKはやろう、と決心したのです。
それならば話に集中してもらいたいので、客席は暗転してKAKOさんだけにスポット明かりが当るようにと工夫しました。
ですからお客様は話を聞きながらプログラムを開くことは出来なかったのです。
本番の前日まで映像チームと秒単位のフェイドインやフェイドアウトのなどの打ち合わせをして、臨んだコンサートでした。
下の写真は、リハーサル時の一瞬を撮ってくださった方からいただいたものです。
会場にいらした方々は、「クレー」「北斎」の演奏バックに絵が投影される、ということを知らなかったはず。
圧倒的に「北斎」の「波頭」の部分の、高波に負けじと演奏する姿に感動した方々が多かったので、「クレー」より軍配が上がりそうですが、この箇所の指の動きは、「絵」があっても無くても同じように観客の心をとらえているようです。
昨日は、全編通じての照明家のセンスが貢献していたことも特筆に値します。東京のみだったのでプログラムにお名前は掲載されていませんが、松岡淳一さんでした。
ここまで書いていましたら、映像チームも東京のみだったので、プログラムにクレジットされていなかったことに気がつきました。2000年から続く「ライブ・イマージュ」での演出家の岡崎良郎さんとヒビノビジュアルの皆様です。
こうして昨日は想像以上に印象に残る素敵なコンサートになり、KAKOさんご自身が一番ホッとしていることでしょう。
スクリーンは東京のみで、このあとの名古屋公演(11月24日)にもありませんが、KAKOさんのTALKを楽しんでください。ある方が、「あなたのお話しは、間合いも音色も演奏と同じだね。」とおっしゃったそうです。
2014/10/12