アンティークなもの
シャンゼリゼ劇場(Théâtre des Champs-Élysées)でのクラシック・コンサートへ。この劇場は、1913年に完成して、アール・ヌーヴォー建築様式の代表作とも言われて今日に至っています。完成の年にストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」の初演が行われたこと、前衛的な音楽、革新的な衣装や振り付けで客席が賛成派と反対派に分かれての大騒動となった音楽史上有名な事件でも知られています。
指揮者がクルト・マズア(Kurt Masur)氏なので行くことにしました。演奏はフランス国立管弦楽団(Orchestre National de France)。
コンサートに合わせて海外に出かけてくるわけではないので、偶然滞在期間にやっているかどうかなのですが、どういうわけかマズア氏とは縁があります。というのも、1995年頃にニューヨークに仕事で行っていた際に出かけたコンサートも彼の指揮だったのです。1927年のお生まれなので、84歳です。指揮ぶりも安定して素晴らしかったのですが、時々指揮台のうしろのガードに手をかけていらしたので、私が彼をステージで拝見する最後かも知れないと思いました。
プログラムのプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第1番」、ピアノはデニス・マツーエフ( Denis Matsuev)。大柄なゴツイ顔のピアニストですが、演奏は素晴らしく、拍手が鳴り止みませんでした。ムソルグスキー「展覧会の絵」はラヴェル編曲版の方ではなく、Gorchakovという人のオーケストレーションで、少し色彩感が乏しかったのでは?と私は感じます。
ところで劇場は素敵でした!エーっと、100年前ではないけれど、ほぼそのくらい前からここにあるのです。先日「パリは初めて」という旅行の方いわく、「パリそのものがアンティークですね」と言ってらして、アンティークショップを覗くよりも街を歩くほうが楽しそうでしたが、その通り。
「パリは燃えているか」でKAKOさんが書いたように、「パリの運命は消されることなく、現在私達の前に残されているのです」・・・ね。
そのKAKOさんにとっては、初めて劇場に来たのは1971年のポリーニ(Maurizio Pollini)の時だったそうです。