盛岡にて
12月11日の盛岡市民文化ホールでのコンサートは、しばらく忘れられないだろうと思います。大ホールの響きはとても良く、これまで20数年ステージの仕事に関わった私の記憶の中でも、ベスト5に入ります。
特にこの日は、東日本大震災の被災者という、他の会場ではあり得ない人々も集(つど)っていました。待ち望んでいてくださった。生きていてこそ分かち合える音楽の共有という感動を、演奏者も聴衆も味わうことのできたしあわせな時間でもありました。
隣の席の20代の女性は1曲目から涙ぐみ、鼻水もすすっています。KAKOさんの楽曲メモに“美しさと隣り合った哀しさ”と書かれている曲が、何故かこの日は心にぐさっと来る迫力ではありましたが・・・。
さて、盛岡在住の50代のご夫妻から、3月11日の不思議な出来事をお聞きしました。
東京で大学生活を送っているお嬢さんが帰省していたので、3月10日、震災の前日に「明日は宮古の○○さんのところに行こう」と話し合っていました。朝になってウキウキして旅行の準備をしていたところ、急に愛犬がお嬢さんの手に噛みついたのだそうです。それも、バンドエイドで手当てが簡単なものではなく病院に駆け込み、何針か縫うことになりました。そんな訳で、旅行はあきらめて家に居たのだそうです。宮古市は、岩手県の海側にあってリアス式海岸で有名です。もしも、出かけていたなら惨事に巻き込まれていたかも知れません。
愛犬は察知していたのでしょうね。
さて26年前に、KAKOさんが初めて東北でコンサート・ツアーを行った時の主催者が来てくださっていました。懐かしいお顔!
年月も年齢も加算されるけれど、目と目が合えば時間は飛び越えられます。
仕事場の、大掃除ならぬ小さな掃除をやりながら、古い資料を捨てずに本棚に戻したりして・・。
それでは、今年の弾き納めの12月23日、東京・紀尾井ホールでお会いしましょう!