自分を信ぜよ
リストラで会社勤めをやめざるを得なくなった人も多勢いる時代ですが、自分の手と足で独立した若きご夫婦を見るたびに、こんな人生設計もあるのだなあと思うこの頃です。お二人の出会いはデザイン学校かな?と思いますが、現在ご主人は家具デザインと制作を中心にして、奥さんはグラフィックデザイナーとしてイラストやインテリアデザインも担当されています。
何年か前に車で通り過ぎるたびに、手作りっぽい素敵な建物がある・・・と、その家を遠くから眺めていました。でも、看板も見当たらないし人の気配も無いので、引越しされたのかな、と思っていたのです。ある日、新聞の片隅に小さな広告を見つけ、クラフトのお店のようなので興味があって行くことにしました。それが、あの建物だったのです。今は看板も出ていて、家の周りにさりげなく置かれた雑貨や小さな花壇なども目に入りました。
中に入って、外観の印象とたがわず、むしろ想像以上に居心地が良かったので、つい「いつもこの建物を気にしていました」と言ってしまいました。すると「この店、僕らが自分で建てたんですよ、屋根も左官仕事も全部。」と答えが返ってきて、さらにびっくり。人の気配がしなかったのは、ずーっと工事中だったのですね。
セルフビルドで家を建ててしまう、といっても普通の人には出来そうもありません。若くてお金が無い分、夢と気力がものをいうでしょう。おじいさまが大工さんだったというDNAも無関係ではないかも知れませんが、自分たちが作ったもの、気に入ったものを置けるshopをいつかやれたら・・・という長い間かけた二人の思いを実現したのですから、素晴らしい。
クラフト雑貨を売っているだけではないということが分かり、アトリエの小さなリフォームをお願いしていて、今日下見に来ていただきました。
一見すると、ご主人はいつも頭の中にイメージを格納するのに忙しそう、奥さんはふっくらしたお顔のせいかいつでもゆったりした感じ、に見えるのですが、そういうお二人に共通項があるようにお見受けしました。それは、ご自分を信じているところ。信じるところに道あり、って誰か言ってませんか?それは夢の強さと同義語かも知れない、と思うようになりました。
面接したけれど全部ダメだった、と知人から電話がくるたびに、何とかしてやりたいと気は焦りますが、本人に夢を描く気持ちがなければ何事も始まりませんね。