梔(クチナシ)の花
6月も今日で最終日。アトリエ通信がなかなか更新できない月でした。この写真は「梔(くちなし)」の花です。もう5~6年も前に、山道を散歩をしていて見かけた花があまりに美しかったので、ひと枝手折って帰り、小さな一輪挿しに入れました。その器は両手で包みこめるほど丸く小さくて、花を入れるところも1センチほどの穴しかありません。茎と葉をぎゅうぎゅう押し込んで、飾っていました。何日か経って花は終わり、それでも緑の葉がつやつやしているので、そのまま置いていました。忙しかったせいもあってほとんど忘れかけた頃、いつまでも枯れないなあ・・、と思い水を取り替えようとして、枝を出してびっくりしました。なんと根が出ていたのです。挿し木のように、暗い器の中がちょうどいい環境だったのですね。それからは鉢に移し替えて、年毎に大きく育っていきました。
初夏の花の香りの中でも女王のようにかぐわしく、何本かを陶芸家の方のところにお届けしたことがありました。花と木で自然なかたちの風流な庭を持ち、慈しんでいらっしゃるご家族です。とても喜んでくださり、後になってアトリエのベランダに植物を置けなくなった時、その方のところに鉢のまま持って行きました。そして庭の仲間入りをさせていただいたのです。
3日前にメールが届き、「梔の甘い香りが部屋中に漂っています・・・」とのこと。
手元から離れてしまっても、花の香りを思い出し、感じることができます。そのメールをいただいてから、とても優雅な気分で今日まで過ごしています。
明日から7月。
アトリエの扇風機や除湿機の再点検など、夏支度に取り掛かりましょう。