或る茶室

閑(シズ)かな日

春らしく明るい色合いの京菓子をいただきました。

いつもは煎茶よりもほうじ茶、棒茶が多いアトリエですが、このようなお菓子ですと、どれも合わないような感じがします。
そのことをKAKOさんに何となく言ってみましたら、「やはり、お抹茶でしょう」と当然のような答え。

そういえば、素敵な窓だった・・と続けるKAKOさん。
えっ?何のこと?
ある方のお茶室に招かれた時のお話だそうです。昔風の茶室とは違い、そのお部屋は2畳ほどですが小さな窓がついていたのだそうです。
ところが、その窓ガラスは透き通っていない。
いわゆる手延べの板ガラスが嵌め込まれていたのです。
明治~大正時代の硝子のように、表面が微妙に波打っているので、外の景色が歪んで見えるのです。

・・・窓を開けて外を見せてくれたが、何のことはない普通の外界が見えるだけ。でも、窓を閉めて硝子を通して外を見ると、もうそこには先ほどの風景ではないものがぼんやりと感じ取れる。まるで水の中から外を見ているようだった。・・・
たった硝子一枚で、いつまでも忘れられないひとときとなった、お話です。

そして、最後に一言。
お抹茶を立ててくれたんだけれど、出されたのは板チョコだった。

硝子もお菓子の組み合わせも、非日常的な感性のご主人なのですね。

さて、アトリエでは「京極の昔」という抹茶を使いました。
毎回難しい!!です。(汗)
お正月の来客以来のお茶の時間でした。

Posted by アトリエール