頭の中をめぐる音楽
携帯電話の待ち受け音楽、というか呼び出している間に流れて来る音楽のことから。
今日レコード会社のNさんにお電話したら、音楽が「展覧会の絵」になっていました。辻井伸行さんの新譜に収録されているピアノ・バージョンかしら。それならムソルグスキーの曲、でも管弦楽曲ならラヴェル。そんなことをKAKOさんに話しているうちに、ラヴェルのことをあれこれ教えてくださいました。ジョゼフ=モーリス・ラヴェル(Joseph-Maurice Ravel , 1875年 – 1937)。バレエ音楽「ボレロ」をはじめ「スペイン狂詩曲」「亡き王女のためのパヴァーヌ」などで知られるフランスの作曲家。やはり何と言っても、ムソルグスキーのピアノ曲だった「展覧会の絵」の管弦楽編曲は有名です。いわく、「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」と呼ばれる人で、スコアを見れば分かるそうですが、非常に精緻な書法を持つ人だそうです。
晩年は不幸だった、とKAKOさんが言っていたので、何故?と思い調べてみました。
50歳代で記憶や言語障害に悩まされ、文字を書けなくなったり署名ミスをしたり、動作が思うようにいかなかったりしていましたが、パリで乗っていたタクシーが交通事故に遭って、病状が徐々に進行していきます。わずか50語程度の手紙を1通仕上げるのに辞書を使って1週間も費やしたかと思うと、自身の曲の練習に立ち会った際には演奏者のミスを明確に指摘したりする。特定されていない病名については、 ピック病、ウェルニッケ失語症、アルツハイマー型痴呆症の説がありましたが、行動に支障をきたしながらも、正確な知覚を示す数々の記録から、全般的痴呆を伴わない緩徐進行性失語症 slowly progressive aphasia without global dementia が有力な候補として挙がっている・・・のだとか。発病してからほぼ10年後に、手術の失敗で亡くなりました。
病床のラヴェルは、あるとき友人に「私の頭の中にはたくさんの音楽が豊かに流れている。それをもっとみんなに聴かせたいのに、もう一文字も曲が書けなくなってしまった」と呟いて泣いたそうです。最後まで音楽家だった人。
ちなみに、今日はKAKOさんの「QUARTET」の発売日でした。「それぞれの海」「最後の忠臣蔵ー夢なれど」「黄昏のワルツ」「夏の日の挽歌」「パリは燃えているか」「博士の愛した数式ー愛のテーマ」「いのちのかけら」「明日への遺言」「熊野古道」「フローラ」。
この10曲のうちで、携帯電話の呼び出し音楽に入れるとしたら・・・?、あれこれかなり迷います。