難所を乗り越えて

LA MUSIQUE

今年の作曲の仕事もいよいよ終わりのほうに差し掛かりました。
来春に公開予定で、海外ロケが主体の大型企画映画も手がけています。

先日、メインテーマとサブテーマという2つの曲が、映画全体のイメージとして監督さんとの合意があったばかり。
細かいアレンジングなどは、まだまだ先の話です。
そういう段階で音楽を入れる箇所を決めていく打ち合わせがあります。
このことを「線引き」の日とか言ったりするのですが、それは、台本を見ながら音楽の入るタイミングに線を引いていくから、「線引き」。
今でも監督さんによっては、台本を見ながら「この箇所にこういう感じの音楽を、、、」とかおっしゃって、同席したKAKOさんも関係スタッフも、文字通り台本に印となる線を鉛筆で引いていきます。
そういう時にそばに居た助監督さんが台本をパラパラめくっているのを近くで見ていて、もの凄く沢山の書き込みがされているので驚いたことがあります。まっ、言葉を扱う仕事の世界の人にとっては当然のことなのでしょう。

それで「線引き」に臨みましたが、、、、多くて6名くらいという打ち合わせが普通でしたので、その3倍近い人が来ていてまずびっくり。今まで、プロデューサーが「線引き」に立ち会ったことがあまりありませんでしたが、今回の映画では、音楽に求められれていることが特に強くあるため、総合力で完成させようという意気込みが感じられます。

椅子に座って「線引き」のつもりが、誰も台本を手にしていず、テーブルには各シーンがカラーコピーされたA4サイズの分厚い映像資料が、人数分用意されていました。こういうやり方もあるんだ、と思いながら。

セリフだけで背景音のない映画のスタート画面から見ながら、時々監督が「そこでストップ」の合図をかけ、KAKOさんは、あらかじめOKが出ているテーマ曲のどの部分を当てようかと思いながら、監督さんのイメージする音への希望を聞いていきます。

どこからどこまでに音楽が必要なのか、その初めと終わりのシーンの何分何秒何コマというタイムコードが非常に大事で、スタッフがメモを取ります。
映像チームからスクリプターという立場の女性が来ていてタイムコードやカット割りなどのメモを取っていますし、音楽プロデューサーはパソコン上のタイムコードにチェックを入れていて、後日そのタイムコードはエクセルの一覧で送られてくることになっていますから、そちらのデータのほうが確実なのですが、自分の手書きメモが意外に役立つことも多いので、私も必死にタイムコードを確認します。
「線引き」の日のKAKOさんのメモは、音楽的な意味での強弱や、悲愴感とか雄大にとかいう形容詞、時には具体的な楽器の名前が記入されているようです。

結局、映画の初めから終わりまで見ながらの打ち合わせでしたので6時間近くかかり、最終の一つ前の新幹線に間に合って帰れた、という日でした。

ここで、最近のKAKOさんの必須アイテムを一つご披露します。

パソコンの液晶画面用のもの。眼鏡の上にかぶせるので抵抗があったようですが、これで疲れ方が軽減したようで、もっと前から使っていれば良かったとつぶやいています。

10月になる頃には、各シーンの音楽のスコアも出来上がりますが、「線引き」から後が一番大変な期間で、まさにその難所に向かっているところです。
メインキャストの二人の男優が素晴らしいし、音楽に期待されていることもクリアして感動作に仕上がるのが、本当にとっても楽しみな映画なのです。

2015/08/26

Posted by アトリエール