マリオン・ハンセルとの出逢い

LA MUSIQUE

先週からフランスに来ています。滞在先のパリで、ベルギーの映画監督マリオン・ハンセルさんとKAKOさんが打ち合わせをする日に立ち会いました。
CDを見ながら、久しぶりの再会でうれしそうな監督の表情です。和食のレストランなので、パリなのに日本茶が出ています。

マリオン・ハンセルとの出逢いは、国が離れていることもあって、「事実は小説よりも奇なり」としか言いようがありません。
1991年(頃)のその日、彼女はパリからブリュッセルの自宅へ向かう車を運転していました。ところが渋滞に巻き込まれてしまい、ふとラジオをかけてみました。しばらくして流れてきた音楽にハッとして、直ぐに車を脇道に停め、音楽がかかった時刻をメモします。ちょうどその頃の彼女は、製作中の映画「On the Earth in Heaven」の音楽を探していたのですが、「これだ!」と感じたのだそうです。
ブリュッセルに着いてから日付と時刻でラジオ局に問い合わせ、takashikakoの「KLEE」というCDの曲だと判明します。しかし、この音楽家は何処に住んでいるのか、どこに連絡すれば良いのか途方に暮れます。当時、フランス版のKLEEは売っていましたので入手することから始め…結局半年程も経った頃に、ようやくKAKOさんの連絡先であるFAX番号を手にします。凄い執念です!

ある日KAKOさんの仕事場のFAXがカタカタと音がして、1枚の紙が届きました。
そこには、自分が監督した映画の音楽に貴方の曲を使いたい、とうマリオン・ハンセルからの依頼が書かれていました。KAKOさんはマリオンが男なのか女なのか、もしかしたら学生なのか、今のようにインターネットのない時です、全く分からず。

それから電話で話す日が来て、女性であることを知り、英語で話しかけてきた彼女に途中でついKAKOさんがフランス語で応じると、いつの間にか二人の会話がフランス語になったりして、、。

それからは、ちょうど渡仏する予定があったKAKOさんのために関係者が集まって試写をしたり、、
彼女と一緒に組んだ2ツ目の作品「THE QUARRY」が1998年モントリオール世界映画祭でグランプリを得て、KAKOさんの音楽は最優秀芸術貢献賞という、美術や照明などの全ての分野を対象にした中での最高の賞をいただいたのです。これは、そういう意味でも嬉しい受賞でした。
日本国内で一般的には殆ど話題になりませんでしたが…映画関係者は知っていて、その後小泉堯史監督との初対面の折りに、この音楽に話が及びました。チェロ奏者8人とコントラバス2人という珍しい編成で、テーマ曲の「荒野のアリア」は演奏されています。今でも「THE QUARRY」のサントラは入手出来るかも知れませんが、私は、当時のモントリオールの審査員は素晴らしいと心の底から思っていました。

今週は「山海塾」のパリ公演があります。KAKOさんの音楽が参加していますので、ご報告できるようにしっかり観賞してまいります。

2016/06/20

Posted by アトリエール