白い鍵盤のエピソード
17日の名古屋の終演後、東海道と東北新幹線を乗り継いで仙台に着いたのは23時過ぎでした。フーッ、ちょっとハードなツアー前半です。
さて、愛知県芸術劇場のホールは舞台を取り囲むように客席が配置されているので、通称「アリーナ形式」と呼ばれます。
仙台はこれとは違って「シューボックス形式」。18世紀頃の初期のコンサートホールから現在に至るまで、世界的にもこの形のホールが圧倒的に多いです。基本は長方形の平面で、天井も平面部分が多く長方形の形をしていて「靴箱」のようなので、こういう呼び名になっています。
このホールの場合、生の音のコンサートと、そうでない場合とではステージはガラっと変わるのです。バレーとか演劇などの場合は、天井の照明バトンを使用して様々な照明効果を出したりしますが、生のコンサートでは天井も左右も舞台奥の反響板もステージに出して、舞台を囲うようにします。
KAKOさんのリハーサル風景です。
ご覧下さい。反響板に囲われて、ステージが一つの絵画空間のようです。
でもピアノのそばに何か立てています。
よく見ると鍵盤に当てるスポットライトでした。反響板で囲うと、天井の形状によっては照明バトンを使えない場合が多いため、特別に用意したのですね。
KAKOさんにとっても「鍵盤明かり」は非常に重要。
初日の福岡ではブルーがかかっていて弾きにくい、ということがありました。
そういえば、演奏を始める前に鍵盤を一通り見て、ハンカチで鍵盤をチョコッと拭いている姿を時々目にしませんか?これは、白い鍵盤にある何かしらの微量なゴミを取り除いているのです。調律が終わった後に調律師さんはピアノ周りを磨いたり鍵盤もきれいにして準備万端ではあるのですが、天井からかミリ程度のゴミが落ちてきたりするのでしょう。
昔のジャズピアニスト時代はすぐに弾き始めていたのです。ところがある時、白い鍵盤の隅っこに小さな黒いゴミがあるのを見つけ、演奏途中なのにそれが気にかかってしまって、何とか取ろうと神経がそっちのほうにいって困ってしまった、、、のだそうです。
東京エレクトロンホール宮城(何故か仙台なのに東京・・なんですね)。県民会館として1950年に会館、1590席。最後列の席まで音が響き渡る素晴らしいホールでの「THE PIANIST」3日目でした。
会場に向かうタクシーの後ろ窓から見えた欅の並木。
2017/07/18