ホールも熟成する

LA MUSIQUE

昨日は群馬県・高崎市文化会館。
駅の出口に向かう途中で、こんな時計が目にとまりました。

♪で囲まれた掛け時計。
この町には、1945年の戦後の草創期から現在に至る、群馬交響楽団があります。
そういった意味でも、音楽文化の根付いた町ということでしょう。

KAKOさんの高崎でのコンサートは初めてかと思っていましたら、何とTOK(トーク)時代に一度来ているとか。おそらく1980年頃のことです。

ステージや客席は、先日の名古屋市芸術創造センターにかなりよく似た中ホールですので、写真は撮りませんでした。と言うのも、大体同じ頃の年代に建てられた公共のホールというのは、似たり寄ったりなのです。
調べてみましたら、ここは1984年に市制80周年記念事業の一環として建設されたそうですから、35年ほど経っています。(このところ古い年号が多く登場しますね)

ところで、このホールの響きが素晴らしかったので驚きました!
ピアノの音が細部まで明確に聴き取れて、演奏者がすぐそばにいるようなライブ感なのです。
今日になってから気になって会館のホームページを見ましたら、設計事務所の名前が出ていました。
佐藤武夫設計事務所(現・佐藤総合計画)。
佐藤武夫というのは、私も仕事上お名前は知っていましたが、どのような人なのか検索してみますと、日本での音響学の開拓者・研究家だったのだと分り、興味深いものがありましたのでアドレスを掲載します。

https://www.axscom.co.jp/satou-takeo/

能舞台の床構造のように、自然な木質空洞の作り出す残響とは異なり、音楽ホールの音響設計は難しいでしょうね。
でもここで、KAKOさんなりの独説もあるのです。
「PAでエレクトリックに増幅するコンサートばかり行っているホールよりも、生の楽器の音を多く鳴らし続けたホールのほうが、壁や天井が一緒に呼吸し続けて、年月を経て素晴らしい残響をもたらしてくれる・・・」
何となくの聞き書きですので、こんなふうに言っていた・・というほどのことですが。

ホールも熟成するということですね。
その為の酵母の役としては、会場に集う人々が不可欠です。

さて、ソロ・ツアーの次回は6月8日(土)の札幌ですが、その前週は加古隆クァルテットで愛媛県・今治市にまいります。ホームページのコンサート情報でご確認ください。

2019/05/13

Posted by アトリエール