ある建築探訪
建築関係に興味がある方でしたら、“ル・コルビジェ”と聞いただけで、具体的にイメージがあることでしょう。20世紀の代表的な建築家。しかし、実際にその建物のある場所にはなかなか行けないものです。この6月はフランスに来ましたので、何とか時間を調整して、ル・コルビジェの傑作とも言われるパリ近郊の「サヴォワ邸」に行く事にしました。市内から電車で約30分と書かれていますが、最寄のPoissy駅に行くまでも電車の本数が多くはないし、日本と違い事前に調べきれないので、出発だけはしてみたという感じです。思ったとおり、Poissy駅から目的の場所に向かうバスの停留所が分かりにくく、大変でした。歩いたほうが良かったかも知れません。それで、たどり着いた入口の所。
門からすぐには建物は見えず、しばらく緑の木々の中を歩いていきますと、白い「サヴォワ邸」への正面ファサードが見えてきました。
「家はオブジェのように芝生の上に置かれている」。
画家が絵の題名をつけるように、別名「明るい時間」と呼ばれていたそうです。
最近のパリは快晴は少ないのですが、今日は雨も降らず暖かな一日です。
今から半世紀も前の1931年に完成したこの建築物は、保険会社を経営していたサヴォワ氏の別荘でした。10000?の草地、3千坪余りの広々とした所にその建物はあります。建築の詳しい事はここでは触れませんが、印象という事ならば、住まいというよりもマジックがひそむ空間、というところでしょうか。そしてすぐに、建築家・安藤忠雄さんがコルビジェの影響を書いていらっしゃる意味も理解しました。横長の連続窓の位置や光の入り方、前方に歩きながらふと意外な方向に仕掛けがあったりするし。
1993年にKAKOさんが、安藤さんの建築「水の教会」を訪れたときの印象を元に作曲したのを思い出します。そこも、どこが正面か分かりにくく、ぐるっと回って振り返らないと入口は見当たらない、のでした。
今回ル・コルビジェの建物を見に行くことになったのも、近日中に「ロダン美術館」の女性館長にお会いするからです。実は、この館長さんが学生の頃建築を勉強していらして、TADAO ANDOの建物を見るために日本を訪れ、知人の紹介でKAKOさんがいろいろお教えしたことがあったのでした。なつかしい再会です。
それにしても半日がかりの建築探訪でした。