安藤忠雄展-挑戦-

時々のメモ

昨日は東京の国立新美術館 開館10周年「安藤忠雄展 -挑戦-」と、サントリーホールでの「辻井伸行デビュー10周年記念 特別コンサート」に行ってきました。
偶然ですが、どちらも10周年だったのです。

安藤忠雄さんとは、北海道の「水の教会」をKAKOさんが訪れて1993年に曲が生まれたという機縁があり、以後現在に至るまで、お互いの仕事の成果を通信するなどの交遊が続いています。今回の展覧会も9月27日から始まっていますが、事前のレセプションに御招待をいただいていながら海外へ出ていたので、その日に会場でお会いできないままで、KAKOさんは残念に思っていました。

平日なのに週末かと思うほど非常に混んでいて人気の高さが窺えます。
会場に入って初めの展示室には、安藤さんの初期の代表的住宅建築”住吉の長屋”(1976年)の模型がありました。
間口2間、奥行き7間で14坪、両隣家に挟まれた細長い敷地。玄関から入ると居間があり、台所など、次の部屋に行くには屋根の無い中庭を通らねばならず、雨の日は部屋から部屋へ行くのに、傘をさすことになる、という有名な建物です。写真では知っていましたが、模型を見ると建物にはいわゆる窓はありませんので、採光は真ん中の中庭に面した「掃き出し」しか無いようです。空も光もここからしか感じられません。

広い会場の殆どの展示は、これまでに発売されている安藤さんの本で知ったものです。今回のハイライトでもある、代表作「光の教会」が原寸大で野外展示場に再現されたものも、20年くらい前に大阪・茨木市の現地で教会内部に入った経験があるので、床材のことなどを思い出して懐かしかったですが、今回は建物を外から見ることが出来ました。するとコンクリートで囲った部分があることに気付きます。
まずはチラシの裏面にあった写真。

そして、今回の展示で外から撮影。

KAKOさん曰く「もしかしたら、内部に入る光を調節するためなのか」。
うーん、茨木では隣接する建物との問題上、必要だったものかも・・・。それとも単に外通路だったりして。

会場はいくつかのセクションに分かれていますが、安藤さんの言葉が英訳付きで沢山展示されていて、こういう一節がありました。

・・・物質それ自体や形式ではなく、記憶として人々の記憶の中で永遠に生き続ける建築を作りたかった・・・

あと、逆境もチャンス・・・という言葉もあって、ホントにひどい条件を誰も予期しないような発想で解決する、”怪傑黒頭巾”のような人だと、つくづく思いながら拝見してきました。

ところで、北海道の「水の教会」の雪景色が絵葉書で売っていたのですが、曲想を得るために訪れた時期に似ているというので、KAKOさんが購入したものです。

ホームページのこちらでは、KAKOさんが1993年に水の教会で演奏したコンサートの模様を、ご覧頂けます。

会場を後にしたとき、世界中で大活躍する安藤忠雄さんの原点は、”住吉の長屋”かな、と勝手に思いましたが。

2017/11/14

Posted by アトリエール