アプレ ミディ
KAKOさんのお話から・・・。
ずっとアトリエにこもっていると、今日が何日で何曜日なのか不確かになってくる。「あれっ?今日は金曜日じゃなかった?」と思いつつ、日付と曜日が同時に表示されるもので確認すると、土曜日。
一区切りついて気分転換に外出したくても、春休みで混み合う街中には行きたくないし・・・。残念。
久し振りに、静かなレストランの食事でも予約したいと思いながら、何時にしようかと考えていて、ふっと20数年前のアフリカを思い出した。
テレビの仕事で、初めてのアフリカ・セネガル。とにかく強烈なのは、(当然だが)黒人だけしかいない。
太陽のエネルギーを身体にまとっているのではないかと思わせるような、肌の真っ黒な人達しかいない、ということに圧倒された。植民地だったので、言葉はフランス語。現地のコーディネーターもいたが、日本からの一行で、フランス語を話せる僕がプロデューサーの代わりに、何かと通訳もやっていた。
あるとき、明日のロケの始まりの時間を決めようということになって、現地で村人を集めてくれている長老に都合を聞いた時のこと。
「明日の待ち合わせは何時にしましょうか?」すると、「après-midi(アプレミディ)・・午後に」という答えが帰ってきた。「午後・・それで、・・何時に?」と聞くと、またも「après-midi(アプレミディ)」というのだ。何度聞いても、帰ってくる返事はそれだけ。その時はっきりと、この国には僕たちが持っていない時間の感覚があるのだ、と思い知らされた。
そういえばバス停のようなところに、ほとんどが座り込んでいつ来るとも果てしないような感じでバスを待っているのをよく見かけた。褐色の土と黒人の色、照りつける太陽と空の青さ。その光景は、大地と一体となってゆるぐことのないおおらかな時の流れの一瞬として、僕の脳裏にくっきりと刻まれたのだった。