馬と共に

タイムスリップ

先月、3Dの映像作品の音楽をします・・・と書きました。
海外メディアとか、コンクールというか、いわゆる放送用ではなかったのですが、
急遽、放送されることになりました。

1000年以上も前から福島県相馬地方に伝わる「相馬野馬追」という
無形文化財の行事&神事のドキュメンタリーです。
私は初め、「そうまの うまおい」と読んでいたのですが、
正しくは「そうま のまおい」だそうです。

この祭りともいうべきものが、相馬の人々にとっては生きがいだったという
くだりがあります。何故ならば、そのための馬はいつも生活の傍に有り、
厩(うまや)があり、小さくとも馬を走らせる場所もあり、
家には鎧兜(よろいかぶと)なども装備していたわけです。

それが、あの震災で失われた・・・。

地元の馬も人も流された為、昨年の夏はこの行事に参加する人は少なく、
かろうじて行われたそうです。
しかし今年は、総勢400騎もの人々が結集し、この伝統ある行事&神事
を執り行ったそうです。

演出家の人が「3Dで編集しているから、地上波ではどういう感じになるか不安だ」
とおっしゃっていました。
そうですね。3Dは眼鏡をかけて鑑賞するのですから、
眼鏡なしで、どの程度の迫力があるのか?

あとは、放送でご覧ください。
13日NHK総合 午前2時10分~3時10分
「疾走! 相馬野馬追~東日本大震災を超えて~」
です。

録音現場で映画と音楽の話になり、演出家の人がこんなことを言ってらしたのが、
印象に残っています。

「『道』(F・フェリーニ監督)の最初のシーンが、名前を呼ぶでしょう、
あれ自体が音楽的なんだよね。日本語でHANAKO・・・と呼んでも、
あんなふうにはならない・・・」

そうでした、この映画は女主人公の名前を呼ぶシーンから始まっているのですね。

「ジェルソミーナ・・・」

遠くから聞こえる呼び声自体がどこか陰りを帯びていて、
物語の予兆にも思えます。

横道に逸れましたが、「相馬野馬追」の最初の音楽は、
「鎮魂」がテーマでした。

Posted by アトリエール