明治の歌人たち

タイムスリップ

津のコンサートの移動で「天むす」を買ったことは書きましたが、今日は少し文学的なお話し。
文化会館館長の梶さんが指揮をしたテレビ番組があるとのことで、録画して拝見しました。

三重県ジュニア管弦楽団と少年少女合唱団が、由紀&安田ご姉妹と共演しているコンサート。
このジュニア・・・達の成長にも、館長さんが長く関わっていらっしゃったようです。

晴れの舞台ですね。
張り切った子供たちの、イキイキとした表情が映し出されています。

それと、このコンサートのテーマの一つは「唱歌」と言われる分野。
子供たちへのインタビューでは、「教科書に載っていない、知らない曲が多かった」とか、「分からない言葉があった」という返事がありました。

例えば、こんな歌詞。

菜の花畠に、入日薄れ
見わたす山の端(は)、霞ふかし
春風そよふく、空を見れば
夕月かかりて、にほひ淡し

里わの火影(ほかげ)も、森の色も
田中の小路をたどる人も、
蛙(かはづ)のなくねもかねの音も
さながら霞める朧月夜

『朧月夜』(おぼろづきよ)。
作詞は高野辰之という人で明治生まれの国文学者。KAKOさんが生まれた年に他界されています。
この人の作詞、作曲岡野貞一という組み合わせの唱歌が、次から次へと歌われるので驚きました。

里わの火影・・・って、先生は子供たちに何と説明したでしょう。

さて、私の大好きだった歌の一つに「花売り」という曲がありました。
KAKOさんにそのことを話すと、確かベートーベンの曲だ、と。
記憶が曖昧でしたので、インターネットで探してみました。やはり好きな方が歌詞をアップしていましたので、
久し振りに巡り会えました。

みずうち清めし 朝のちまたに
白露 宿せる
紅(べに)花 黄花
花売る 乙女の 涼しき瞳
もの皆笑(え)まうよ 乙女の花に

行き交い にぎおう 夕べの辻に
秋の野 さながら
匂える花屋
花売る 乙女の 優しき心
思えば人みな 歩みを止むる水打ち清めし 朝のちまたに

原詩はゲーテで、作詞は水町京子(この歌人も明治の人)、となっていました。
曲想は・・暗めですけれど、忘れがたい曲です。
もう少し調べましたら、ベートーベンの1805年に出版された「8つの歌曲」(作品52)の第7曲「Marmotte」、
だそうです。

結局、一つの番組から、懐かしい歌詞へと辿りつけた一日でした。
長くなりましたが、終わりにします。

Posted by アトリエール