電話の主(ぬし)

under the sky

夕方のこと、思いがけない一本の電話がありました。
被災地にいらっしゃることは知っていましたが、ずっと連絡が取れなかった女性からです。「今日電気が通じて、携帯電話は圏外になってしまうのですが、固定電話が使えるようになりました」とのこと。ご自宅に避難していて、そこは先祖伝来の山奥で、水は自然のもの、ガスを使用していたので、他の方に比べたらまだいいほうです、と。自然の水って井戸のことですね、きっと。
近くの避難所の炊き出しに、交代で出かけているそうです。でもガソリンが無くなって、徒歩だとか。周りでもガソリンは不足していて、みんな昔の人々のように、歩いているそうです。瓦礫が無ければ、ちょっと、のどかな光景も想像してしまいますが。

Letter to Rさん(^^)
「声」というのは、その人そのものですね。少し低いトーンのおっとりとした口調で「あのー・・・」と電話の主が話した時に、名乗った訳でもないのに、すぐに分かりました。ずっとご無事を祈っていた人だったから。
何とうれしい事でしょうか。津波の大きさや周りの景色、同じ町の中で情報が行き交っていない、という様子など話しましたが、飛んで行きたい気持ちです。手を取り合って、これからのこともお話ししたいです。詩人でもある貴女の心の「ことば」を、いつ聞くことができるのでしょう。私たちもその日が来るまで、耐えて待っています。

Posted by アトリエール