昔日二題
大阪の知人から、夜も暑くてうんざりです、というメールが来ていましたが、こちら軽井沢は確か30度を越す日が少しあっただけで、とっても涼しい日々です。9月に真夏日というような日が来ない限り、今年は“夏”が無かったようなお天気が続きます。
ある雨の朝、この地より100mほど標高が高い峠を越えて追分方面に行く道を車で走っていました。
中山道六十九次の江戸から数えて20番目の追分宿があったあたり。
さらしなは右
みよしのは左
月と花とを
追分の宿
誰の歌か、急に江戸時代の旅姿の人々を思い出す。
雨というよりも霧が降っている感じで、まだ午前中というのにヘッドライトをつけなければ前方が見えにくい。
フォグランプを点灯している車もありましたが・・・私は、あれ?フォグランプってどこにスイッチがあったんだろう・・しょうがないので、普通のライトで走りました。
車の中で何か探しものは、危ない、危ない。心して運転に集中しなければ、と思い直していたのですが、
何と帰り道で、3台の車の衝突事故を目撃したのです。
霧の山道での前方不注意でしょうか。
しかしこの霧で、ふっと雲の中を走っているような錯覚をしました。そして、国木田独歩が「湯河原行き」という作品で書いていた一行を思い出したのです。歌碑にはこう書かれています。
《湯ヶ原の溪谷に向つた時は、さながら雲深く分け入る思があつた。/獨歩》
いずれも歩く目線で感じられる風情ですね。
このコーナーもKAKOさんも夏休み的になってしまい原稿を書けませんでしたが、そろそろ掲載日を増やすように致します。