心の橋渡し

LA MUSIQUE

一時寒い日がありましたが、東京も昨日今日と好天気です。昨夜の東京・オペラシティのコンサート「クァルテット」のエピソードのいくつかを拾ってみました。まず、音楽プロデューサーとしての活躍も華々しい方からの第1声は「4人の配置が美しい!」。その次に「左右の女性(ヴァイオリンとヴィオラ)が立っていて、その黒い衣裳も神秘的な感じで女神のようだった」ということでした。ステージに対するこちらのイメージを言い当てるなんて、さすが、敏腕プロデューサー。
「本当にクァルテットの音の醍醐味を堪能したのは”いのちのかけら”かな」と、この方は言ってました。CDから全曲演奏したのですから、皆様お好みの曲がそれぞれ違います。あるテレビ局のディレクターは「僕は”最後の忠臣蔵”が一番ガーンときました。チェロのイントロを聴いただけで、映画のフルスコープが・・・、、竹林の中に役所広司さんが立っているシーンがパーッと脳裏を駆け巡ります」「あんなにシンプルなメロディーなのに、イメージの広がり方がとてつもなく大きいので、この曲は凄いんだなあ、とあらためて思いました」
KAKOさんはこの曲が浮かんだとき、「こんなにシンプルなメロディーで良いのだろうかと」と真剣に思ったそうですから、そういう風に感じてくださるとはうれしいですね。映画の公開は12月18日、だいぶ近づいてきました。

そういえば、東京のコンサートなのに気仙沼(けせんぬま)から駆けつけてきてくださった方々が、お会いした方だけでも3組もいらっしゃいます。歌人や陶芸家、地元の名士といわれる人、そしておそらくファン暦の長い方もどこかに座っていらしたはず。東北地方の公演が無いこともありますが、それにしても遠方です。何故かといいますと、一番最近のつながりとして、KAKOさんが”気仙沼高校”の校歌を作曲しました。前述の歌人の方の作詞です。とにかく話せば長ーいご縁の数々がありました。遡れば、今は亡きジャズ喫茶のマスターがコンサートを開催してくださったことが最初です。それから、何人かの方が交代してKAKOさんとの縁を深めてくださったのですね。旧女子高のイメージ曲や観光客も訪れる海にちなんだ曲作りで、安波山(あんばさん)にも登っています。標高239mのこの山は「航海の安全と大漁を祈願する」という由来から名づけられた町のシンボルの山。その山頂から湾の風景を眺めた印象を「海と森にたたずむ千年の気仙沼」とKAKOさんは表現していました。資料を見て、それが1990年と知り、あれから20年、随分昔のことになったのだなあ、と思います。いつの日か再訪したい町のひとつです。

「僕らは”たそがれたワルツ”だけど、KAKOさんのはしっかり”黄昏のワルツ”だったねえ」という勇退組の方がいらしたかと思えば、20代や30代と比較的若いお客様も多く、世代が引き継がれていく様子も感じました。幼い頃に親がファンだった、という訳でしょうか。音楽は、そういう橋渡しもしていける心の遺産ですね。

Posted by アトリエール