かおり、薫る

時々のメモ

10月になってしまい、来月からコンサートツアーが始まるかと思うと身が引き締まります。チケットは毎回のごとく、”販売日に完売”などということはなくて、勾配線をゆっくり更新している状況ですから、制作側としては胃が痛いです。公演日が近づくとようやく形が見えてくるんですけれど・・。
そんな訳で、正直なところなかなかこのコーナーへのペンが進みませんでした。

こちらのアトリエのスタッフとして働いてくださっていた人から、今回はどうしても行けないという連絡があり、その人が仕事場にいた時のことなどを思い出しています。お名前が「薫」だったので、KAKOさんも「さん」をつけていつも呼んでいました。実家の斜陽があったにしてもいつも笑顔で働き、困った人には手を差し延べる、そういうタイプの人で、随分助けていただきました。「名は体を表す」とは昔から言われていますが、私はその人にぴったりだなあと、よく感じていたのです。それは、優雅な幼少時を過ごした背景もあるかも知れませんし、何か体に染み込んだ品性が「カオル」のでした。

ここで急に話はかわりますが、どこか土地を思い浮かべてそこに行ってみたくなる時には、例えば、京都だったりパリだったり、どこでも良いのですが、思い描くその時にパッと強い「かおり」を感じているのではないかと思ったのです。京料理とかオムレツのにおい、という具体的なことではなくて、「パリのかおり」「京都のかおり」というものが、人それぞれにあるのだろうと。それを言い表すのは難しいですが、人々はその「かおり」に誘われて逢いに行くのでしょう。

それで秋のコンサートの出欠のお返事を見ながら、皆様は毎回のコンサートで、きっとある種の「かおり」を受け取っていらっしゃって、それをまた追体験するかのごとく来てくださるのではないかと、思ったのでした。それならば初心に戻って、と・・・衿を正しているところです。

Posted by アトリエール