ホトトギス

木の響き

今年の春に軽井沢のアトリエへ「移住」してきた頃、KAKOさんが苦々しい顔で、「今年もあの鳥が来るかなあ」と言っていたのを思い出しました。
毎朝4時半になると決まったように鳴き、近くのせいか声も大きく、そのせいで起こされてしまい、昨年のKAKOさんは毎日のように寝不足だったのだそうです。
あまりに悔しいので鳴き声を録音した、と言って聞かせてくれていました。余程参っていたのですね。

甲高く短くて鳴き切らないような変な感じがします。

今年は鳴く場所が少し遠くなったようで睡眠の被害が少ないそうですが、私は、せめて鳥の名前だけでも知りたいと思い専門家に聞いてもらうことにしました。
メールに添付して送ったところ直ぐに回答があり、「ホトトギス」だと思う、とのこと。

バードリサーチ鳴き声図鑑
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/nakigoe.html

最近よく聞かれている鳴き声、と題したところに
ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、、キジバト、ホトトギスとありました。
それでホトトギスをクリックすると・・・
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/onsei/hototogisu-ueta-tokyo060610.mp3

聞こえてきました!KAKOさんを悩ました鳥の声!

でも、ホトトギスって確か文人に愛された鳥ではありませんか?
万葉集にも・・・

ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば
   ただ有明(ありあけ)の 月ぞ残れる
         後徳大寺左大臣(藤原実定)

平安時代の貴族たちにとっては、夏のはじまりに飛来するホトトギスは、季節の訪れを象徴する鳥として、ウグイスのようにとても詩的なものに思えたようだと書かれていたりします。
特にホトトギスの第一声(初音)を聴くのは非常に典雅なこととされていて・・・山の鳥の中で朝一番に鳴くといわれるホトトギスの声をなんとか聴くために徹夜して待つ、というのどかな情景が・・・あったのですね。

もしかしたら平安時代のホトトギスは動くのが速く、こちらと思えばまたあちら、というように姿も声もすぐにそこから居なくなったのではないでしょうか。
You Tubeを見ますと、現代のホトトギスは小枝でじっと鳴いていますから。
この鳴き声で朝一番にしばらくの間鳴かれたら、目覚めて眠れなくなるのも道理かと・・・私は思っています。

さてさて、秋に公開される映画「蜩の記」の「ヒグラシ」は、KAKOさんの大好きな鳴き声です。
暑さが増して来ると聞こえてきますね。

2014/07/20

Posted by アトリエール